BIGBOSSがレンタル移籍のこと言ってたけど、プロ野球でレンタルって聞いたことないけど、どうなの?
今までにもそんなことあったのかな?
サッカーでは一般的なレンタル移籍こと期限付き移籍制度。
プロ野球では聞いたことなかったですよね。
ここでは、そんなレンタル移籍とはプロ野球に今まであったのか。そのメリット、デメリットは何なのかを解説していきます。
この記事でわかること
- レンタル移籍とは
- 今までのNPBの歴史上、行われたことがあったのか
- レンタル移籍のメリット
- レンタル移籍のデメリット
- レンタル移籍の問題点
結論から言うと・・・
結論
- レンタル移籍とは、期限を決めて選手を貸し出す制度
- 近い概念で移籍した選手はいたが、現在は野球協約の規定で行えない
- 選手層の薄い球団が移籍金や代替選手等が発生せず安価で選手を獲得できる
- レンタルした選手を育てるより元々所属してる選手を育てる方が良い&シーズン途中だとサインプレーの変更が必要になる
- 対象選手の出場機会の確保、育成選手の扱い、現状でも球団ごとの戦力差が少ない
では、この様な結論になった中身を詳しく見ていきましょう。
レンタル移籍とは
レンタル移籍とは、『期限のある』移籍のことです。
サッカーでは、半年間や1年間と期限を決めて移籍をすることが頻繁に行われています。
この『期限付き移籍』のことを日本のメディアでは俗に『レンタル移籍』と称することがあります。
では、なぜ『期限付き』の移籍とするのでしょうか。
サッカーの場合を説明すると、『期限付き移籍』は移籍金が発生しません。
貸与する対価として、主にその選手の年俸を貸与されるチームが支払います。
買取オプション付きにして、期限を満了する際に完全に移籍することを3者合意の上で行うこともあります。
獲得する側のチームにとっては移籍金が発生しないため、安価で能力の高い有望な選手を獲得することができます。
貸し出す側のチームは、戦力として溢れている選手をレベルの高いリーグの中で実践経験を積ませて育成をすることができます。
選手側は、根本的な所属チームを変更することなく実践の中で経験値を高め、
実力をつけてアピールすることによって自分の選手としての価値を上げていくことができます。
3者ともに利のある制度です。
今までのNPBの歴史上、行われたことがあったのか
では、プロ野球では過去にレンタル移籍を行った歴史はあるのでしょうか。
今までの歴史上では明確なレンタル移籍は行われていません。
ある一定期間他チームに移籍して、元のチームに戻ってくる選手は何人か存在しています。
ファイターズの場合、鶴岡選手がFAでホークスへ移籍し、数年後またFAで戻ってくると言うことがありました。
また、小久保選手の場合もホークスからジャイアンツに無償トレードされ、数年後ホークスに戻ってくると言うことがありました。
他にも数人同様の元の所属先へ出戻り移籍の例があります。
レンタル移籍のメリット
レンタル移籍のメリットは、次のようなことが挙げられます。
メリット
- 資金力に乏しいチームでも安価に有力選手を獲得できる
- トレードと違い、代替選手がいらない
- 期限終了後に完全移籍する際にレンタル期間でチームに馴染んだ選手を獲得することでリスクを低くすることができる
- 選手としては、出場機会が得られる
- 移籍元チーム側は、自チームに留まっても出場機会を与えることが難しい選手に、よりレベルの高い実戦を経験させられる
- 余剰戦力となっている選手を期限付きで移籍させることにより登録選手枠を空けることができる
このようにメリットを挙げると当然のことながら良いことばかりで、今まで行われていないことに疑問が湧いてきます。
資金力の多くない戦力が低いチーム、実力がありながらも出場機会に恵まれて居ない選手達、多くの有望選手を抱えるチームにとって
素晴らしい希望となる制度です。
レンタル移籍のデメリット
では、レンタル移籍のデメリットは、何なのでしょうか。次のようなことが挙げられます。
デメリット
- 移籍元チームが保有権を有しているので、移籍期限内に活躍した選手が移籍先チームの永続的な戦力にはならない
- レンタル移籍を多用するチームは戦力が安定しない
- 毎年レンタル移籍を繰り返す選手が出てきて、一つのチームで安定した戦力にならないリスクがある
- 資金力のあるチームに戦力が集中する可能性がある
ドラフトにより戦力の均衡が図られているNPBでは戦力が集中することは望ましくありません。
弱小チームと強豪チーム、実際には分かれてしまっている現状はありますが、
制度によってそれを後押しするようなことはあってはならないことでしょう。
レンタル移籍の問題点
では、デメリット以外に今まで実施されていなかった原因となるレンタル移籍の問題点はなんなのでしょうか。
問題点
- 特にキャッチャーの場合、戦略やサインの全てをシーズン中に変更する必要が出てくる
- レンタルで移籍してきても期待通りの出場機会に必ず恵まれるとは限らない
- 永続した戦力とならない選手に出場機会を与えるよりも既存の選手を育てた方が将来的に良い
- 不正の原因となる可能性がある
- 野球の場合は一軍、二軍があり二軍の試合で出場する機会はあるため移籍元チームのメリットが少ない
- 移籍した選手が大活躍した場合、移籍元チームが大きく損をする
- ブレイクスルードラフト(現役ドラフト制度)と思想の部分で被る部分がある
- 移籍する選手の取り扱いのルール設定が複雑
- 育成選手はレンタル移籍させることができるのか、その場合どうするのか検討が必要
- 現状でも戦力、資金力に大きな差がないため制度を活用される機会が多くないと予想される
性善説で考えればメリットばかりの制度なのですが、性悪説で考えると移籍する選手が移籍元チームのメリットとなるようにわざと成績を落としたり、
わざと移籍先チームを混乱させたりすることも考えられます。
また、細かなルール設定をしておかなければ移籍先でも移籍元チームと変わらない出場機会で移籍自体が意味のないものになる可能性もあります。
しかし、確実に出場機会を与えるルールとすると既存の選手との間に格差が発生してしまい、不公平が出てきます。
理想的な活用のされ方だけとは限らず、色々な条件を想定しなければならず、制度設計が複雑となります。
まとめ
それではもう一度振り返ってみましょう。
結論
- レンタル移籍とは、期限を決めて選手を貸し出す制度
- 近い概念で移籍した選手はいたが、現在は野球協約の規定で行えない
- 選手層の薄い球団が移籍金や代替選手等が発生せず安価で選手を獲得できる
- レンタルした選手を育てるより元々所属してる選手を育てる方が良い&シーズン途中だとサインプレーの変更が必要になる
- 対象選手の出場機会の確保、育成選手の扱い、現状でも球団ごとの戦力差が少ない
という結論でした。
レンタル移籍とは、サッカーではよく行われる戦力補強制度です。
チームごとの戦力差・資金力差の大きいサッカーの場合は、
下位チームが【上位チームでは出番の少ない有望な若手選手】を安価に戦力として向かい入れるのに適した制度です。
選手にとっても強豪チームで出場機会のないまま日々を過ごすことを避け、
根本的な所属チームを変えることなく出場機会を得られるチャンスとなります。
日本のプロ野球の場合は、球団数も少なくチームごとの戦力差・資金力差もサッカーほど大きくないことから
現在までは採用されることがありませんでした。
今後については、選手会がそれを望み期限付き移籍を「良し」とする球団が多くなれば採用される可能性はあります。
しかし、ドラフト制度や昨今話題の現役ドラフト制度、FA制度等諸々の条件の変更が必要となってきます。
現状では、『飼い殺し』を無くすためには、まず『現役ドラフト制度』の導入が優先される課題となるでしょう。
そう考えると、レンタル移籍制度が実施されるとしても、だいぶ先の話となりそうです。